在宅勤務で20年働いてわかった、自宅で快適に仕事をする7つのポイントをまとめてみるよ

 2000年に勤務していた会社を退職し、フリーランスで編集とライターの仕事を始めておよそ20年になります。この間、ずっと在宅勤務で仕事をしていて、諸先輩方の観察やいろいろな試行錯誤や失敗を経て現在のワークスタイルになりました。まだまだ試行錯誤は続けていますが。 

 で、その観点から新型コロナウイルスの感染拡大で増えた在宅勤務の人たちを見ると、「それはよろしくないのでは……」ということがけっこうあります。もちろん仕事の内容や置かれた環境によって正解は変わるし、突き詰めると自宅の構造や間取りから考えなくてはなりませんが、ここでは少なくとも気を付けたほうがよいと思われるポイントを7つ上げておきます。

1 イスに投資せよ!

(写真出典 ハーマンミラーストア

 僕がフリーランスになった当初、使っていた椅子は5000円程度の安物でしたが、案の定、もともと持病だった腰痛が悪化するようになりました。そこで購入したのが、アーロンチェアで有名なハーマンミラー社のミラチェアで、当時の価格で12万円程度。これで腰痛はかなり改善されました。座り心地が段違いな上、前傾チルト機能がついているので仕事に集中しやすく、座面がメッシュなので夏場や長時間座っていてもあまり蒸れずにすみます。
 10年保証がつき、何度か無料で修理をしてもらいながら結局、12年間使いましたから、1年あたりにすると1万円でコストパフォーマンスは悪くありません。ちなみに最近、ミラチェア2に買い換えましたが、こちらは12年保証付きで14万6300円。同じハーマンミラー社のセイルチェアもデザインと価格が手ごろで良かったのですが、座面がメッシュではないので見送りました。あと選択候補としてはエルゴヒューマンやオカムラのコンテッサあたりになるでしょう。もし予算の問題があるなら中古品を買う手もあります。保証はつきませんがかなり値段は落ちますし、これからオフィスを畳む企業が増えるとさらに値段も下がってくると思います。。

2 モニターは大画面のほうがラク!

 急に在宅勤務になった人は会社のパソコンをそのまま使用するパターンが多いと思いますが、ノートPCの小さい画面をのぞき込んでいるより大きいモニターを使ったほうが仕事は断然はかどります。目の負担も軽くなった気がします。
 僕はノートPC→20インチデスクトップ→21インチデュアルモニターという経緯を経て、現在は42.5インチのモニターを使用しています。このサイズになると机もある程度大きさが必要で、細かい調整がしにくい難点が出てくるので誰にでもお勧めできるものではありませんが、画面を広く使えて仕事はしやすいです。ちなみにこんな感じ。

ちなみにこんな感じ。

3 起床と始業時間を一定に!

 勤務時間の制約がなくなると、自分の好きなときに好きなように仕事をしたくなります。が、そこには罠が潜んでいます。世の中の大半を占める自律性の低い凡人は単に仕事をダラダラと続けるだけになったり、生活が乱れてコンディションの低下→集中力や生産性の低下の悪循環に陥ったりします。
 こうした悪循環を防ぐには朝、起床する時間と始業時間を一定にするのがよいです。よく「やる気スイッチが入らない」と言われますが、起床と始業時間を一定にすることで生体リズムを整え、自ずとやる気スイッチが入る時間帯を自分で作り出すわけです。
「ここで仕事を切り上げる」という終業時間も決めておいたほうがよいです。これがないとダラダラ仕事をする一因になるし、「ノッている時はずっと仕事を続けたい」というタイプの人もいますが、翌日に疲労や睡眠不足が残るので結局、週単位でみるとアウトプットの質量は変わらない気がします。

4 平日の昼酒禁止!

 酒好きの人がずっと自宅で仕事をしていると、周囲の目がないこともあってつい昼からビールやワインに手が出るなんてことが起こります。とても気分はよいですが、やはり集中力は落ちますし、メールの文面が無駄に攻撃的になったりケアレスミスが増えたり酒飲みながら仕事をしていいことは何にもないです。さらにこれが習慣化すると、〆切落としの常習犯になったりします。それが許されるのは売れっ子の無頼派作家だけです。
 平日は我慢して休日だけ昼酒OKにすると、一週間の区切りやリズムもついてよいと思いますが、とにかく酒でダメになっちゃう人は意外といるので注意が必要です。

5 マメな換気と掃除!

 自宅にこもっていると陥りがちな罠が、居住環境が悪化しているのに気付かず、心身のコンディションにも影響を与えることです。僕はぜんそく患者かつアレルギー性鼻炎持ちなので空気の悪いところやカビやハウスダストが多いところにいるとすぐ体調に影響があるのですが、そうした持病のない人でも居住環境は徐々に影響が出ます。
 それを防ぐのが換気と掃除で、とくに気付きにくいのが室内の空気の淀みです。気密性が高く換気率の低い古い建物では目の痛みや頭痛、せきといったシックビルディング症候群が発生することが知られています。換気量の多い部屋と小さい部屋でテストを行うと換気量が大きいほうが学習効率はアップするという研究や、オフィス内の空気の質を改善すると従業員の認知能力の改善を促進しうるといった研究結果も出されています。
 24時間換気システムがついている建物ならそれを正しく使い、そうでない建物は下記のページを参考にするとよいでしょう。

DAIKIN 上手な換気の方法

6 毎日1時間歩く!

 在宅勤務の最大のネックは、運動量が極端に減少しがちなことです。会社への通勤があれば自ずと歩くことになりますが、放置するとまるまるその分の運動量がはげ落ちることになります。
 運動量の低下は生命の危機に影響し、一日あたりの歩行時間が30分より少ないと脳卒中や心筋梗塞による死亡率が上昇し、30分より多いと低下します。また一週間のスポーツ時間の合計が5時間以上になると、明らかに脳卒中や心筋梗塞による死亡率は低下します。
 加えて歩かないと、腰痛を発症しやすくなります。僕はヘルニアが悪化して3週間ほどまともに歩行もできない時期がありましたが、その時の医者の指導は体重を減らすことと、痛みが治まったらできるだけ歩くことでした。で、毎日歩数を測り「このぐらい歩くと腰痛が出ない」歩数が8000歩、時間にして1時間前後だったので、その程度は歩くようにしています。今は人込みを避け、他人との距離を開ける必要がありますが。

出典 国立循環器病センター [90] 体を動かそう!─ 運動で循環器病予防 ─

7 毎朝寝間着を着替え、鼻毛をチェックし、人と会う!

 ずっと自宅作業をしていると起床し外出するどころか寝間着を着替えることすら面倒くさくなってきますが、これも危険な罠です。人に見られる意識がなくなると、どんどん不潔感が増していきます。鼻毛が出ていても気付かない、なんてことが実際に起こります、僕は今でもたまにやらかしますが。
 一番怖いのは極端に出不精になると社会的なつながりが失われていくことで、いつの間にか集団のなかでの振る舞い方やコミュニケーション能力が減退したり、精神的な不安感につながったりもします。なので毎朝身支度をして、外出して人に会う。人に会うといっても毎日がっつり会う必要もなく、店員さんとちょっとした会話を交わすカフェや喫茶店、あるいは客同士で話せる行きつけの飲み屋さんなどを近所につくっておくと、意外な人のつながりもできてよいと思います。ただ、現在は人と接触を持ちにくい状況なので、直接会わずともSNSでコミュニケーションする相手がいるだけでもだいぶ気分は違ってきます。

 以上をまとめれば仕事環境を整えるために設備投資する、コンディションを維持するために体調管理と環境管理を行う、社会性を維持するということです。ふざけたタイトルを付けていますが早世したり精神的に仕事を続けられなくなった同業者を見ていると、これらは本当に重要です。付け加えるとすれば、仕事もプライベートも含め自分に対して厳しすぎず寛容であることが、精神的な健康を維持するうえで非常に大事だと思います。

(参考URL)

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