すき家大量閉店から1年、労働環境はどう改善されたか?

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 (画像出典:ゼンショーHD 職場環境改善促進委員会 「職場環境改善に関する報告書」 以下同じ)

 すき家でパート・アルバイトが次々に退職し、大量閉店に追い込まれてから1年ほどになります。全国200余りの店舗が休業に追い込まれる事態を受けて、すき家を運営するゼンショーHDは店舗の労働環境改善に取り組み始めました。

 そして昨年11月に設置された、外部の有識者で構成される職場環境改善促進委員会がこのほど「職場環境改善に関する報告書」をまとめ、公開しました。以下に要点と気になったところを簡単に記しておきます。

 参考:ゼンショーHD 「職場環境改善促進委員会」報告書受領について


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 この報告書によると、月間時間外労働100時間を超える従業員はグラフの通り社員、クルーともに激減し、改善は進んでいるようです。

 ただし過労死や過労うつ病の労災認定においては月間80時間が1つの目安にされており、100時間以上がなくなってもそれは当たり前の水準であって、とくに評価されるものではありません。

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 また、社員の月間平均残業時間の推移は昨年10月以降、45時間を下回る水準に低下し、今年2月には31時間となっています。社員の残業時間の内訳を昨年と比較すると極端な長時間労働は減少したものの、それでも9%社員が60時間以上の残業に従事しています。

 以上のような過重労働是正のために行った施策を拾っていくと、次のような取り組みが挙げられています。

  •  従来は長時間労働の把握を月間、かつ前月に対して行っていたのに対し、労働時間管理を日々行えるように仕組みを整えた。
  •  地域分社化を実施し、全国約2000店の労働時間管理を本社だけで行っていた労働時間管理を各地域子会社が担当するようにして、各階層のマネージャーが管理する従業員の数を適正なものに整理した。
  •  労使で構成する「時間管理委員会」を」設置し、前月長時間労働を行った従業員の上司を招集して原因究明と再発防止のためのヒアリングを行う。
  •  人手不足解消のためクルーの積極的な採用を行い、昨年8月以来前年同月と比較して100%を超える人数の応募が続いている。
  •  人材強化策としてクルーから契約社員、正社員への登用要件を明確にして周知を行い、前年に比べ社員登用が合計418名と約70%増加した。
  •  2015年3月末に在籍していたクルーを対象に一律2.5%の時給引き上げ。社員に対しては春季労使交渉でベアと定昇合わせて7700円(2.5%)の待遇改善を妥結。

 個々の従業員の労働時間をリアルタイムで把握し、おかしな動きがあれば即座に原因を追究し改善する。待遇を改善して人材の流出防止とモチベーションの向上をはかる。異常な労働環境を放置していたすき家で、ようやく当たり前のことが当たり前に行われるようになってきた感があります。

 ただし以前と比べ過重労働の解消は進んでいるものの、まだまだ問題は多いし、残業時間のデータが大ざっぱだったり社員のデータは出しているのにクルーのデータが出されていない項目があったりするのが気になりました。

 これらの取組みの営業面への影響についても気になるところですが、またそのうち。

 最近、過重労働問題を引き起こした会社のなかで、ゼンショーは実態を開示しながら改善を進めている点で評価できます。

 ただ、強盗が多発してもワンオペを継続したり、未払い残業の支払いを求めた従業員に対し余りもののご飯でおにぎりをつくって食べたのは窃盗にあたると逆に訴え返す等々、数々の悪行を重ねてきた会社です。創業会長が「妻が近所の人に避けられた」と涙を浮かべても同情は得られないだろうし、社会からの信頼を獲得するにはまだ時間がかかるでしょう。

 そう考えると改めて、従業員を酷使するビジネスは一時的に利益は出ても長期的にはいろんな意味で割に合わないなと思います。

ブラックバイト
大内裕和
堀之内出版
2015-04-10


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