なぜ日本株は割安のまま放置されているのか?

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日本の株式市場は割安と言われているものの、なかなか復調の兆しが見えません。昨日時点で日経平均採用銘柄のPBR(株価純資産倍率)は0.94倍で1倍を割っています。PBRが1倍以下ということは、会社が保有する純資産の額より株式の時価総額のほうが安いことを意味しますから、この面から見る限り日経平均はかなり割安です。それなのに、なぜ日本の株式市場は低迷したままなのか。

この点について、日経新聞の「経済教室」で川北英隆京大教授が分析を行っていました(2012年10月29日朝刊 「株式市場再生の視点 上」)。この記事で川北教授は日本市場の時価総額上位30社の特徴として、以下の4点を指摘しています。

① 売上高の成長率がマイナス。
② 総資産利益率(ROA)が低く、投下した資本が十分な利益を生み出していない。
③ 総資産に対する純資産の比率が高く、レバレッジがきいていない。
④ 自己資本利益率(ROE)が低い。

売上高のマイナス成長は日本経済が拡大していないことの影響を受けており、それにも関わらず国内にこもる企業が多いため競争が激化しROAは低下。また、利益率が低い日本企業は経営者が借入に慎重になるためレバレッジがきかず、それらの帰結として自己資本利益率も低くなる、というわけです。

一方、投資家は期待収益率に基づいて株式を売買します。企業の利益率が期待収益率を下回れば、いち早く株式を売却して他の投資先に乗り換えるのが賢明な選択です。このため、PBR1倍割れでも株式は売られるのだと川北教授は指摘します。

この資本コスト割れを示唆する端的な指標がROAの低さだ。表にあるように、日本の代表企業でさえ4.4%にすぎない。ここから4割が税金として控除されるため、税引後には2.6%にとどまる。(中略)この結果、日本企業の低収益率は投資家を失望させ、株価下落を呼ぶ。

長年に渡る経済の低迷と将来への不安で身を縮めているのは、企業経営者も個人も同じ構図のようです。しかし、企業経営者が個人と同じメンタリティでよいわけがありません。いまの日本に足りないのは積極的にリスクを取り、同時にリスクを適切にコントロールできる経営者であり、そういう会社の株は買い、ということなのでしょう。

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