ジブリと円谷プロ、どうして差が付いたのか…慢心、環境の違い

ジブリにカバン持ちとして入社したドワンゴの川上量生会長インタビューが面白い。

ニコニコ動画という国内最大級のウェブサービスをつくった川上氏はいま、スタジオジブリの映画を作る過程を全部見させてもらっているという。ジブリといえばすでに確固たる地位を確立し、好きなものづくりを自分たちのペースで好きなようにやっているというイメージが私にはあった。川上氏もそうだったらしいが、実は全然違うという。以下はインタビューからの引用

冒険する必要がない会社だってイメージがなんとなくあるんだけれども,実は常に凄い冒険をしていますよね。それも意識的に冒険を続けていて,その冒険のリスクの大きさたるや,これからが最高潮じゃないかっていうような状態なんですよ。正直,こんな激しい状態の会社とは思わなかったです。


私はジブリの作品をそれほど見ているほうではないが、確かに言われてみればジブリはヒット作の続編に走らず、毎回新しい映画を作りコンスタントにヒットを飛ばしているなあと。

ジブリっていうのは毎回新しいこととか,毎回全然違う作品を作りながらも,より大きな予算を動かして,より大きな成功をつかんできている会社なんですよ。


このインタビューを読んでいて思い出したのが先月、TBSラジオでやっている『爆笑問題の日曜サンデー』にゲスト出演していた脚本家、市川森一氏の話だった。市川氏はかつて『怪獣ブースカ』や『ウルトラセブン』など円谷プロ作品の脚本を手がけていた。子供の頃、ウルトラセブンに親しんだ爆笑問題の二人がその話を振ったところ、市川氏が円谷プロをdisり始めたのである。せっかくなので、その部分を文字に起こしておこう。

田中 ウルトラセブンとかの脚本書くときって、メインは○○星人とか、今回の敵はこういう奴っていうのは当然大事なわけですよね。その○○星人という名前とかある程度の造型とかも脚本に入っているんですか。

市川 そうなんですよ。その割りにはパテント料くれない(笑)。怪獣の名前から星人の名前まで、みんなあれ脚本家が作るんですよ。

田中 エレキングとか考えたのは市川先生なんですか。

市川 そうですよ。デザインもト書きには書きますからね、目玉が三つだの足が三本だの。それを成田さんなどの天才的なデザイナーがいっぱいいて、それをベースにデザインをしてくれる。ただしそのパテント料は成田さんにもいかないし、命名者の作家にもいかない。全部円谷プロダクション! だったら儲かった円谷プロダクションは大きくなれっていうんですよ。スターウォーズぐらいものをつくる会社になれっ
ていうんですよ。でもなってないでしょう。社長がどんどん替わっちゃって、円谷プロという名前だけは残して。丸Cパテント料、お人形代だけで稼いでいるみ
たいな。


太田 ずいぶんたまってますね(笑)


当初はパテント料をくれない恨み辛みをダシに笑いを取りにいっているのかと思ったら、批判は作品作りの本質的な方向に向いていった。なぜ、スターウォーズのような作品を円谷プロは生み出せなかったのか…。

田中 我々が子供の頃、どれだけソフトビニール人形買ったか!

太田 あれ買ったもんなー。

田中 一番価値のあるものですからね、子供の頃は。どんなものよりも怪獣の人形が一番嬉しい。

市川 ただ、あれがどこかで円谷プロのある種の堕落を呼んだってところはあります。つまり、ものを創造する力をおもちゃが奪っていたところがあります。おもちゃで儲かるというシステムがね。

太田 そうか、グッズ…。

市川 そう思いませんか。あのね、ウルトラセブンまではおもちゃを売って儲けるという意識ありませんでしたから。だから作れば作るほど赤字になる。「早くやめてくれ」と円谷英二さんなんか言ってたんですから。あれが、宇宙人やら何やらがおもちゃになって、あ、それが売れていくんだ。儲かるぞというのはセブンの後ですからね。

太田 そうなるとストーリー性なんかもうどうでもよくなってくる、だんだん。要するに、おもちゃ主導の、おもちゃありきの――。

田中 このデザインはちょっと人形になりずらいとか、そういうこともあるかもしれない。それこそ先生の考えた怪獣の出てこない回なんかあり得ないってことになりますね。

市川 あり得ない!(注:ウルトラセブンには怪獣が出てこない回がある)

太田 そういうことだよね。


作った作品で儲けを出さないと次の作品を作れなくなるが、儲けを先に考えると作品づくりがおかしくなる。もしそこをうまくやれていたら、円谷プロもジブリのような存在になれた、かもしれない。

というか、作品(コンテンツとはあまり言いたくない)づくりを手がける会社はこの辺のモデルをきちんとしなければいけない、ということなのだろう。そういえばビジネスパッケージとしてのジブリ作品のなかでグッズ販売が占める重要性は、ウルトラマンシリーズほどには大きくないように感じる。

ちなみに、市川氏の話にはもう少し続きがあって、ウルトラセブンが出てこない回のアイデアは独創というよりも必要に迫られたものだったそうだ(笑)

市川 ウルトラセブンの頃は、もう宇宙人を作るお金がないから、「なんとか今回はあなた新人だから宇宙人なしで一本書けないか」とか、それからウルトラセブンの予備の身体はあるから、ぬいぐるみね、だから偽ウルトラセブン――

太田 ああ、それで!

市川 で、「偽と戦わせないか?」とか。

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