『カイジ』の名言はどうやって生み出されているのか?

shonai

 ヒトくせもフタくせもある人物に”ショナイ”の話を聞きにいくという、テレビ朝日の月曜深夜にスタートした「ショナイの話」。話を聞きにいく出演者は男女3人の月替わりで、10月はブラックマヨネーズ吉田敬とジャーナリストの津田大介、そしてSKE48の秦佐和子という不思議な組合せでしたが、期待以上に面白い企画に仕上がっていました。

 話を聞きにいった相手は東大首席卒業者(小幡績氏!)や雑誌「ムー」編集長、警察も依頼する鍵師等々。人選がよいですし、聞き手の三人も、津田氏以外はインタビューのプロではないのに、見事にショナイの話を引き出していました。なかでもブラマヨ吉田氏が『賭博黙示録カイジ』や『アカギ』で知られる漫画家の福本伸行氏に話を聞いた回では、福本氏が自身の制作方法についてざっくばらんに語っていて、創作やものづくりをしている人の参考になるような内容でした。以下に気になったところをメモしておきます。(発言は適宜手直ししてあります)。

ギャンブルをしないでどうギャンブルを描くか?

「ギャンブルはやらないのか」と尋ねる吉田氏に対して、福本氏は「そんなにしないです」と期待を裏切る一言。さらに吉田が「引くほど借金まみれになって、それこそ金融屋さんにがんじがらめにされてみたいな経験はないんですか」と問いを重ねると、福本氏は「それはないです」と答えながら、こう続けました。

 でもね、ないんだけど、たとえばパチンコしてもいいしカジノいってもいいじゃないですか。そのときに思うことを深く想像していくと、そういう心境はわかりますよね、ある程度。やめられない感じってあるじゃないですか、負けがこんでくると。負けてるときも、流れが悪いからこれからも負けるなと思いながらも席立てない、みたいな。そういう感じとかは、もちろんそれが身を滅ぼす100万200万のギャンブルだったらもっと熱くなるんでしょうけれど、まあ、そんなギャンブルじゃなくても、そういうのってちょっとわかりますね。

自分が描きたいものと読者が望むもの、どちらを優先するか?

 創作に限らずビジネスでも自分たちがつくりたいものと、市場が求めていると思われるもののどちらへ向かうべきか、という命題は常にあります。「俺は好きなのはこっちなんだよといって描くのか、俺はもう一つなんだけど読者はこっちを喜ぶよな、という方に行くのか?」という質問には、即座に答えが返ってきました。

 前者ですね。ぼくはずっと前者ですね、基本的に。もちろん読者のことも考えるし、それはわかる。もっというと、理想的には、自分が面白いなというアイデアを思いついたときに、脳内でうわっとくる喜びみたいのあるじゃないですか。キターって。それをそのまま読者にトスしたいんです。その感覚を、読んでて「あ、キターっ!」と思ってもらいたい。


「名言」の数々をどうやって生み出しているのか?

 福本マンガの魅力の一つは、人の肺腑をえぐるような名言が飛び出してくることです。その生み出し方にも吉田氏は斬り込んでいきます。

吉田: あと名言もすごいじゃないですか。
福本: 名言に関しては、ストーリーとかネタとかのあれで、自然と出てくるというかな。

吉田: 自分のかいたアツイ言葉が、先生の胸に突き刺さるときもあるんですか。
福本: でも言い方を変えると、突き刺さったものを描いている。だからたぶん思いついたときに、まず自分が最初に読者で、あ、これ言われたら…。このシチュエーションでそれ言われるときついわー、と。

吉田: 先生もがーっと、これきついなあ俺、くそ、となってからみんなに。
福本: そうそう。その感じをトスするというか。

 吉田氏はいいネタを思いつくと、自分で笑いだすそうです。では、福本氏が名言を思いついたときはどうなるのか。

 黒沢(『最強伝説 黒沢』)というマンガがあって、わりとそのへんの泣きのあれ(作品)だと、泣いたりもすることもありますよ、感動してね、感動というか、自分はある意味、最初の読者だから。

 福本氏がどれだけ没頭してマンガを描いているのかがわかる、よいインタビューでした。

「ショナイの話」のインタビューアーたちは毎月交代制。おそらく人選的にいろいろ実験するためにそうしているのだと想像されますが、吉田・津田・秦トリオの再登場を楽しみに待ちたいと思います。

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