第三者委員会報告書が明らかにした、すき家大量閉店の真相

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 今年3月にすき家で大量閉店が発生したとき、このブログではネット上で従業員がどんなやり取りをして店を去り、閉店につながっていったかについて記事を書いたが、昨日発表された「すき家」の労働環境改善に関する第三者委員会の調査報告書ではすき家を運営するゼンショー社内の、当時のでたらめな状況が生々しくレポートされていた。

(参考記事)
 すき家の連鎖的閉店はどのようにして起こったか?

 当時、すき家のなかで何が起こっていたのか。この調査報告書に基づいてまとめてみる。


○大量閉店以前のすき家

 すき家は1982年11月に第一号店をオープンしたのを皮切りに、すべて直営店で店舗展開を行い、2008年9月に牛丼チェーントップの店舗数となった。

 しかし店舗数の急拡大と裏腹に社員数はあまり増えていない。2011年4月時点で店舗数1572店、在籍社員数(正社員+契約社員+シニア)575人だったのに対し、2014年4月は店舗数が1986店、在籍社員数584人。400店以上の増加に対し、社員は9人しか増えていない。当然、社員の負担は過重になる。

 このアンバランスさは退職者数の多さによるもので、2011年度の退職者数は103人、2012年度170人、2013年度177人となっており、新規採用のほとんどとが退職者と相殺される形になっていた。

 退職者が大量発生する主な要因は、過重労働にあった。すき家非管理監督者社員の残業時間をみると、大量閉店前の2014年2月以前でも平均月間残業時間が100時間以上の社員がしばしば100名を超え、100時間以上のクルー(アルバイト)も常に数百名いるという異様な状態だった。

 しかもこれらの数字でさえ、実態を正確に反映しているとはいえない。労働時間を正確に記録しない、つまりはサービス残業の慣習が蔓延していたからである。

 労働環境の悪さは労働基準監督署から出された是正勧告書の数にも表れており、2013年度は49店舗を対象に49通の是正勧告書が出されている。

○2014年3月、大量閉店はじまる

 多くの学生クルーが就職等で退職する2~3月は毎年、店舗運営が厳しくなる時期である。加えて2014年は新規クルーの応募状況が前年比70%で、都心を中心に人手不足に陥っていた。組織変更による現場オペレーションの混乱も発生していた。

 そして2014年2月14日、オペレーションの複雑な牛すき鍋が新商品として投入された。作業負担を甘く見積もり、現場の懸念が伝わらないまま投入された結果、店舗オペレーションが機能せず、クルーや現場社員の長時間労働やサービス残業が増加した。

 さらにこの時期、大雪が二回降った際にクルーが帰宅できず、交代するクルーも出勤できない状況が発生した。しかしすき家では店舗の一時休業などの措置をとらなかったため、中には帰宅できないクルーが48時間勤務するといった事態が多数発生した。

 この大雪をきっかけにクルーの不満が爆発し、クルーの稼働率や人数が減少。現場社員はシフトが組めなくなって自分自身がシフトに入らざるを得なくなり、ただでさえ過重な負担が増加した。そのため多くの現場社員が退職し、あるいは行方をくらまし、残った現場社員の負担をますます増大させた。

 その結果、店舗を閉鎖・休業してはならないという不文律があったすき家において、2014年2月からイレギュラーな一時休業、時間帯休業が発生しはじめ、2月の最終週には10店舗に達した。3月に入るとさらにイレギュラーなクローズが増加し、3月16日はその数が159店舗にものぼっているが、当時は現場も本部も混乱していたため集計ができていない日もあった。

 このような状況に陥って、すき家を運営するゼンショーは3月18日にこのまま店舗をオープンし続けるのは不可能と判断し157店舗の閉鎖を決定。3月20日から順次閉鎖していくことにした。その後、対象店舗を拡大し、第一弾として167店舗を24時間閉鎖し、122店舗の深夜営業を取りやめた。続いて第二弾として48店舗を24時間閉鎖し、183店舗の深夜営業を取りやめた。

○すき家社員はどんな理由で退職しているのか

 このように見ていくと、牛すき鍋の導入や大雪はあくまで引き金であって、過重労働の常態化により組織運営が脆弱になっていた点に問題があることがわかる。それは調査報告書に記載された退職者の退職理由によく表れており、その一部を引用しておこう。

「年末親に会い、20kg痩せ見てられない、辞めてくれと頼まれた。」
「シフト時間、シフト調整により寝る暇がない。休みがない、3ヶ月に1回あれば良い方。30日間オフなし。ピークの時間ワンオペ、土日の昼ワンオペ。」
「居眠り運転により、怪我→入院。(川に車ごと転落)過去に事故を3回起こしており、父親から仕事を辞める様にと勧められている。」
「誰も相談に乗ってくれず、つらかった。誰かに話しを聞いて欲しかった。」
「理不尽な事が多い。サービス残業が多く、未払いになっている。(クルーにもさせている)業務が多く、シフトアップの予定時間を過ぎてもデイリーに記入できない雰囲気がある。」
「回転が続いて馬鹿らしくなってしまった。頭が回らない。」

 最後の「回転」とは、店舗で24時間連続勤務をすることを指す。辞めていった従業員の多くは自分の生活が崩壊し、命の危険にもさらされる状態に置かれていたわけである。

(この項続く、かも)

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