ワタミの赤字決算はどのくらい深刻か?

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 ワタミが11日に発表した2014年上期の連結決算は、営業損益が10億円の赤字、最終損益が41億円の赤字という結果に終わり、すでに発表していた今期中の店舗閉鎖を60店から102店に拡大するとしました。

 今回の赤字決算はワタミにとってどのくらい深刻なのか。決算短信をざっと眺めてみると、いろいろ興味深い内容でした。


ワタミ平成27年3月期 第二四半期決算       (単位:百万円)
    前第二四半期   当第二四半期
売上高80,71977,701
売上原価37,92438,461
売上総利益42,79439,240
販管費及び一般管理費40,31740,279
営業利益又は営業損失2,477-1,039

 まず損益計算書を見ると前第二四半期に比べて売上高が減少し、売上原価は上昇、販管費及び一般管理費はほぼ横ばい。

 国内外食店はこの上期に52店撤退したので売上高の減少はある程度、想定内でしょうが、問題は既存店売上高が前期比92.7%と大きく下げていることです。決算説明会資料によると、客単価アップに取り組んだ施策が顧客の支持を得られなかったようです。

 客単価は最大3%上昇したが、客数は最大12%落ち込む厳しい結果となった
 (ワタミ:決算説明会資料

 他のワタミの主要事業である介護、宅食も低迷し、当初の計画目標を引き下げています。


前会計年度当第二四半期     差
現金及び預金9,3957,168-2,227
流動資産合計19,69616,939-2,757

 そしてバランスシートを見ると、現金の減少が目立ちます。


前会計年度当第二四半期     差
短期借入金6,14315,0708,927
流動負債合計31,47738,9177,440
流動比率(%)62.643.5-19.0

 一方、短期借入金が約90億円増加。やはり資金繰りが厳しくなっているのかなと、短期的な支払い能力をみる指標である流動比率を計算してみると43.5%でした。外食は現金商売とはいえ、もともと高くはない流動比率が20%近くも下がっています。

 流動比率とはざっくりいうと、1年以内に返済しなければいけない借金に対し現金やすぐ換金できる資産がどのくらいあるかという指標で、それが50%以下ということは要するに、短期間で調達できる資金の2倍以上、短期的に返済が必要な借金があるということです。ちなみに居酒屋チェーンで競合するコロワイドは直近の第二四半期決算で71%です。

 自己資本比率も前期末の17.5%から13.8%へ低下しており、ワタミは財務面から見てかなり厳しい状況に追い込まれました。

 労働基準法を無視した従業員の酷使により社員が過労自死したり、介護施設で入居者の死亡事故を出したりしたワタミは、かつて好意的に受け取られていたブランドが失墜しました。現在は労働環境の改善に取り組んでいますが、違法行為によって儲けていたツケは非常に大きいようで、立て直しに残された時間はそれほど長くないのかもしれません。

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