長銀破綻から20年。その理由が理解されていないのは損失だ、という話

 

 20年前の1998年10月23日、大手金融機関の日本長期信用銀行が経営破綻しました。長銀の歴代の経営者に経営責任があるのは間違いありませんが、90年代を振り返ると平成の鬼平と称された三重野日銀総裁が利上げをやりすぎたり(公定歩合が6%に達した)、司令塔のないまま各省庁がそれぞれ地価対策に走り大きく資産価値を下落させたり、橋本首相の消費税導入、財政再建政策で一気に景気が冷え込み銀行の自己資本が縮小し金融危機が生じたり、メディアはフェイクニュースや頓珍漢な記事をを流しまくったりとひどい状況でした。

 なので当時のメディアに多かった金融機関の経営責任“だけ”吊るし上げる論は意味がなくて、米国の圧力などで大蔵省の行政指導に基づく護送船団方式から自己責任による自由競争に移行する中で、政治も行政も金融機関もなぜ判断を間違えまくったのかといった俯瞰的な視点がないと、90年代の金融危機を間違って理解してしまうと思います。長銀は「経営がアホだから」という側面だけでなく、重層的な要因から破綻にいたったわけです。

 公的資金の注入も「経営の失敗をなぜ助けてあげなければいけないのか」とかなり批判されましたが、それが遅れたことにより銀行の自己資本が収縮し、銀行が貸しはがしに走ってバブル崩壊で傷ついた不動産業だけでなくゼネコンや小売業などを中心に資金繰りに苦しむ企業が増加し、失われた20年を生む要因の一つになったことは当時の教訓として押さえておくべきでしょう。対照的に米国はリーマンショックの際、素早く対処して日本のような事態になるのを防ぎました。

 こんなことを言っているのはたまたま長銀OBの方々を取材する機会に恵まれ、詳しく長銀の経営破綻の過程を知ったからですが、どうもこの辺のことが共通認識になっていないのは、あれだけのコストを払ったのにもったいないという気がしています……。

 当時の状況を知るには、長銀最後の頭取である鈴木恒男氏が自ら筆をとった『巨大銀行の消滅』書籍があります。決して簡単に読める本ではありませんが、バブル崩壊と金融危機の状況を知るには非常に優れた内容です。

 

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