ワタミ9月期決算と、立て直しの困難さを示す一枚のグラフ

売上高営業利益純利益
15年9月期(百万円)66,639-1,416-2,069
14年9月期(百万円)77,701-1,039-4,114

 ワタミの2015年4~9月期決算が発表になりました。表の通り、営業利益は14億円の赤字、純利益は21億円の赤字となっています。


  しかし2015年度通期の予測として同社は営業利益0億円でプラマイゼロ、当期純利益は130億円との予測を出しています。これは介護事業の売却で150億円超の売却益を見込んでいるからです。

 介護事業の売却益と、介護施設にかかわるリース債務518億円が切り離されることによって自己資本比率は9月末の5.9%から30%以上に上昇する見込みだそうで、危ぶまれていた財務面の不安はいったん解消されることになりました。

 ただし事業売却による利益は一時的なものなので、今後は経営資源を集中するというフードビジネス部門をどれだけ改善できるかが焦点となります。

 では、ワタミに改善できるだけの力があるかどうか。結論からいうと、相当厳しいと思われます。その根拠は外食事業の既存店売上高推移にあります。同社ホームページに掲載されていたデータをグラフにしてみたところ、このようになりました。


 (ワタミ 近況について より作成)

 既存店売上高の前年対比を見ていくと2002年以降、100%を超えた年は一度もありません。ちょっとこの数字には驚かされました。けっこう称賛されていた時期もあったので。

 ついでに客数と客単価入りのグラフも。客単価については100%を超えた年がけっこうある一方、客数はずっと低迷が続いています。売上高=客数×客単価なので、客数減をなんとかしないとどうにもならないわけですね。

 で、上記のグラフから言えるのは、ワタミはかねてより外食店舗の経営改善が課題であったにもかかわらず、10年以上有効な手を打てないまま現在に至っているということです。よほどドラスティックな改革が実施されない限り、介護事業の売却は単なる延命措置に終わる可能性が高いと予想します。

(参考URL)
 ワタミ株式会社 2015年度中間決算説明会資料(PDF)
 日経新聞 ワタミ、背水の「食」回帰 4~9月最終赤字20億円に拡大(有料会員限定)


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