「街が死んでしまう」原発30㎞圏内の南相馬市が直面する困難

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原発の半径20㎞圏から20~30㎞圏、30㎞圏外にまたがる南相馬市は、今回の原発問題で非常に大きな影響を受けている自治体である。私は4月11日、南相馬市の中心部にある原町商工会議所を訪れ、地元企業の現状について南相馬市議会議員で自身も縫製会社を経営する中川庄一氏話を聞いた。

「この30㎞圏内は仕事をやりたくても、取引先がなかなか仕事を発注できないというのが工業関係の現状。他に工場がないわけじゃないからね。いままで何十年もやってきた実績がこれでゼロだわな、完全に」
中川氏はそう語る。

南相馬市ウェブサイトによると、二次産業で市内にある754の事業者のうち、再開しているのは10社未満。しかし地震と津波による被害が理由で再開できない企業はそれほど多くはないという。再開できないのは風評と、20~30㎞圏内の屋内退避区域に指定されていることの問題が大きい。

「アパレルだと、今まで発注した分の納品は受けるが、全部廃棄処分にするといわれている。メーカーさんとすれば南相馬で縫ったものは汚染されているから店頭に出せない、ただし工賃は支払いますという話で。実際に計ってみると南相馬の放射線量は低いから、風評だけ」

「中小零細は工場を動かさないと生活ができない。しかし、やりたくても避難している社員もいるし、屋内避難区域で何かあったときに誰が責任をとるの、といったら会社に取れるわけもない。だから会社はなかなか社員を呼べない」

20㎞~30㎞圏内の自主避難要請という中途半端な政府の指示が、そのエリアで事業を営む企業を苦しめている。一部では機械を別の地域に運び出して事業を再開しようとしている企業もあるが、中小の規模でそれができる企業は限られる。「このままでは街が死んでしまう」と中川氏は危惧する。

「企業の一番の希望としては、まず30㎞圏内の屋内退避区域を外していただくと。もし国として外せないのなら、避難指示区域にしてもらったほうがまだ、新天地で新たに起業できるような段取りを取れると私は思う。今のままだと状況が中途半端すぎる」

「いま、多くの子供たちが避難してよその地域の学校に入っているが、みんなが帰ってこられる状況をつくらないと、この街は死んでしまう。帰りたくても、職がなければ帰ってこられない。もし避難指示が出れば、これもまた街が死んでしまう。だから街が生き残るには屋内退避区域の解除しかないと、私個人は考えている」

いま、南相馬市には戻ってくる人々が増え、賃貸物件を探すのが難しくなっている。個人商店では頑張って店を開いているところもある。しかし原発問題の行方は予断を許さず、計画的避難区域に南相馬市の一部が組み込まれる見通しでもある。先行きの見えない状況が、人々の行動を難しくし、判断を迷わせている。

「街を残すためには働くところがあって、ちゃんと商店が開いてなければいけない。仲間には『早く帰ってきて商売しろ』と言っているんだけど、これだけ長引くと本当にそれでいいのか悪いのか、自分でも疑問になってきます。生殺しのようにするのではなく、屋内退避区域の解除をするのか、避難区域に指定するのか、どちらかはっきりして欲しい」

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