ワタミの平成27年3月期決算が発表されました。売上高が前期比マイナス4.8%のマイナスの1553億円、営業利益が207億円の赤字、当期純利益は127億円の赤字という惨憺たる結果になりました。営業利益の赤字は上場来初めてです。
以前、このブログで取り上げてきたように、ワタミの財務は悪化しています。
ワタミ2015年3月期決算(単位:百万円) | |||
前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 差 | |
現金及び預金 | 9,395 | 9,483 | 88 |
流動資産合計 | 19,696 | 19,465 | -231 |
前連結会計年度 | 当第3四半期 | ||
短期借入金 | 6,143 | 17,552 | 11,409 |
流動負債合計 | 31,477 | 43,571 | 12,094 |
流動比率(%) | 62.6 | 44.7 | -17.9 |
自己資本比率(%) | 17.5 | 7.4 | -10.1 |
上記のように前期と比べ短期借入金が3倍近く増え流動負債が121億円増加し、流動比率はおよそマイナス18%低下し44.7%、自己資本比率はマイナス10%低下の7.4%で一ケタ台に突入してしまいました。流動比率ってなんだという人は、以前書いた記事をご参照ください。
(参考:ワタミの赤字決算はどのくらい深刻か?)
決算短信の「継続企業の前提に関する重要事象等」の項目にはこう書かれています。
平成27年度の利益計画の達成を前提としても、取引金融機関からの金融支援が必要な状況により、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しておりますが、以下のとおり対応策を実施しており、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められません。
「継続企業の前提に対する重要な疑義を生じさせるような事象又は状況」が明記され、同社の苦境がより明らかになりました。
(参考:証券用語解説集 継続企業の前提)
決算短信に書かれている対応策とは、国内外食事業の改善計画策定と実行による営業利益とキャッシュフローの獲得、そして主要取引金融機関からの金融支援です。
しかし改善計画といっても、ワタミはすでにさまざまな手を売ってきたにも関わらずここまで既存店売上高は居酒屋市場平均を下回るペースで推移し、客数の改善もみられていません。
過労自死問題とその不誠実な対応などで世の中のヘイトを集めまくったワタミが顧客の支持を得るのは容易ではないでしょう。すき家のゼンショーは自社の労働環境問題についてかなり突っ込んだ報告書を公開し、その改善に取り組んでいますが、そうした世の中のヘイトを慰撫するような取り組みを行わない限り、いくら営業施策を打ったところで客は戻って来ず業績の改善は困難であるように思いますが、果たしてどうなるか。
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