GIGAZINEの求人募集が中小零細企業にありがちな阿鼻叫喚な件

GIGAZINEの記者・編集募集が盛り上がったようですね。2日に同記事が出た翌日から私は出張に出てあまりネットを見ていなかったのですが、その間にクビ切られた側がネットに登場したり、ネットワーク技術者募集の募集まではじめてみたり、いろいろ動きがあったようで。

でも、本件は中小零細企業でよくありがちな阿鼻叫喚だと思います。そんなに珍しい話ではありません。

一人か数人で始めた商売が軌道に乗る。

人手が足りなくて、もしくは成長目指して人を増やす。

せっかく採用した連中が期待通りに働かない。楽になるはずが費用と手間ばかり増える。

社長「この給料ドロボー!」とキレはじめる。従業員反発。お互いの不信感で雰囲気最悪。

こんな感じ。経営者が社員の働きに不満を持つのは世の常です。まして創業する意欲と能力を持ち、それなりのリスクを背負っている創業経営者からすれば、自分と社員の働きぶりのギャップは非常に歯がゆいというか、腸の煮えくりかえる思いでしょう。

しかし、設立したばかりの小企業に最初から使える人材はまず来ない。ならば、今はそれほど力のない人材を動機付け、育成していく営みが必要になります。もしくはあえて採用する人材の質にこだわり、能力の高い人材を巻き込むような努力が必要です。いずれを選ぶにせよ、そのためには魅力的なビジョンを指し示し、仕事そのものの面白さや将来の成長の可能性といった広義の報酬を提供することが経営者の重要な役目となります。給料や社名で人を惹きつける力はないのだから。

で、改めてGIGAZINEの求人記事を読むと、従来は記者経験のない者を採用し、自律的に育っていくことを期待していたようですが、それは無茶だと思います。やはり経営者の指導や職場の雰囲気づくりなしに、勝手に書き手が育っていくなんて都合のいいことはまず起こりません。で、そのような努力を怠っていたというか、重要性に気付いていなかったことに今回の問題の根本があるのかなと、この記事を読む限りは。

GIGAZINEでは今回の求人を機に、志や価値観を重視した採用を行うそうです。その過程ではおそらく、ついていけない従来の人材が離れていくのでしょう。それは小さな企業が成長していくためには不可避のプロセスだと思います。決して悪いことではないし、その方向で進むべきでしょう。ただ、同時に人材の育成や職場の雰囲気づくりに経営者の時間や労力を振り向けないと、この先も同じことの繰り返しになるのではないかと。

そもそも論でいえばあまり人を増やすより、らばQなんか見ていると、経営者と同程度のリスクと責任を持った少人数のチームで運営したほうがいいような気も…。

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