【本】『残念な人の思考法』の残念なところなど

最近、売れているビジネス書と言えば『残念な人の思考法』。20万部を超える売れ行きに気をよくして、版元では特設サイトを開設したそうで。ちなみに私の残念な人度は31.25%でありました。

著者の定義によると「残念な人」とは「プライオリティ付けの『正否』『適否』を考えない人、あるいは見誤る人のこと」であり、「この点を改善すれば能力を充分に発揮できるようになる」。要は頭は悪くないし一生懸命やっているけど、なかなか成果の出ない人ということです。けっこう思い当たる人もいるんじゃないでしょうか。

私は仕事で必要が生じて本書を手に取ったのですが、タイトルでぐっと読者の関心を引きつけ、冒頭の残念な自身のエピソードで購買に向かわせる構成はお見事の一言です。ただこの本、アマゾンのレビュー を見るとあまり評価は芳しくないようで。

読者の評価が低くなるのは、タイトルとの齟齬が大きいのではないかと思います。読み進めると、本書はビジネスエッセイの集合体であることがわかります。身近な例や自身の体験をコンサルタントらしい分析で斬った話が多く、私は基本的に面白く読みました。しかし「残念な人」に話題をからめてはいるものの、全体として残念な人からの脱出法やプライオリティ付けの指南書になっているわけではありません。

従って、その辺に期待値を置いて購入した読者の評価は自ずと低くなります。まして20万部も売れちゃうと、期待値と内容にズレを感じる読者の絶対数は多くなるわけで。ベストセラー化するののはいいことだけど、本書の内容にプライオリティの高さを感じない人がこぞって読む、という残念な結果がもたらされるのであれば長期的に見たとき、著者や版元に取って本当によいことかな? 

最近、内容は決して悪くないんだけど、タイトルとの齟齬が大きい本をわりと見かけます。その理由を推測すると編集側が書かせたい内容と、著者が書きたい内容の落差を埋める作業がなされていないのか、あまり内容に立脚しないでタイトルのウケを優先しているのか。どちらにしても、編集の仕事がちと安易になっている感があるし、一発勝負の博打の継続では出版ビジネスはますます不安定になるばかりかと。

残念な人の思考法(日経プレミアシリーズ)残念な人の思考法(日経プレミアシリーズ)
著者:山崎将志
日本経済新聞出版社(2010-04-09)
おすすめ度:3.0
販売元:Amazon.co.jp
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