人材のロスを減らせないくらコーポレーション

くらコーポレーションが入社前研修で内定辞退を強要したとMBSとTBSが報じた件について、くら側から反論のリリースが出されました。内定辞退を強要した事実はなく、そもそも急成長中の同社がわざわざ入社予定者数を減らす理由もない、と両者の主張は真っ向から対立しています。

裁判に訴えた人もいるので、事実関係はこれから法廷で明らかになっていくと思いますが、そもそもくらコーポレーションがどんな採用施策を採っているのか興味があったので、ちょっと調べてみました。

平成17 平成18 平成19 平成20 平成21
売上高(百万円) 34475 40854 48471 56470 64663
経常利益(百万円) 2206 2514 2989 2575 4571
従業員数(人) 475 528 682 868 881
平均臨時雇用者数(人) 3412 3941 4525 5138 5983


ご覧の通り、このご時世に売上高が急拡大! 成長に伴い従業員数も急増しています。

同社では顧客満足向上のために従業員教育にも力を入れており、平成18年に「”教育日本一企業”を目指して」最大200名の机上研修が可能な大阪狭山研修センターを開所しました。ただ、その割に同社に入社した社員の退職率は高いようです。

各年度の有価証券報告書の記載によると、新卒社員の採用は平成20年4月1日付が265名(前期比136名増)、平成21年が179名とあります。平成19年が(265名-136名)=129名の入社とすると、この3年で573名の新卒採用を行った計算になります。

ところが、この3年間で増加した従業員数は353人に過ぎず、220人はどこへ行ったのかしらん。もちろん消えた220名全員が新卒採用ではないのでしょうが、大量採用を実施する一方で退職する従業員も多いのが同社の現状のようです。寿司ネタのロスは減らしても、従業員のロスを減らせていない。

その理由を推測すると、会社側と採用される側のミスマッチが大きいと思われます。くらのリリースにはこんな記載があります。

8割の人は事前課題をしっかりとやってきておりませんでした。

実際に、研修において、「挨拶・返事をきちんと大きな声でやりなさい。」と指導し練習をさせたところ、「そんなことは言われたことがない。」、「なぜそんなことをしなければならないのか。」と一生懸命に取り組む姿勢を見せない人、「起立・気をつけ・礼」の練習にすらついていけず早々に辞退していく人もいることは事実です。

内定者の8割が事前課題をやっていないって、どんな採用選考をしていたんだよw。もしかすると、事前課題そのものに問題があったのかもしれません。だいたい入社前研修で会社側の言う「内定辞退者」が20名も出ること自体、おかしい。入社前研修とは、基本的に入社へのモチベーションを高めるものであって、選考過程はすでに終了しているのですから。

まとめると、くらコーポレーションでは採用活動やその後の従業員教育、人事施策がうまくできていない可能性が高い。こんな紛争も起きているし。今回のリリースの文章一つを見ても、会社の急成長にスタッフ部門の機能がついていっていない印象を受けます。そろそろ意識的に成長の踊り場をつくり、会社内部の充実に力を入れたほうがよい時期かもしれません。

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