新卒無職の雇用対策なら丁稚奉公がいいんじゃね?

先日、若年層の雇用をどうするかという議論に参加する機会がありました。そこでは最近よく聞く「正社員を切って若者に仕事を与えよ」的な話がまたもや展開されていたのだけど、それって現実的じゃないよなあ。単純なはなし、ミドルクビにして新卒と入れ替えたら、とたんに仕事がまわらなくなるでしょう。スローガンとしてはわかりやすいけれど。

業務上のスキルやコネクションのつくり方など、成果をあげるにはいろいろ必要な要素があるわけで、ジョブの数を増やすことが困難ないま、若年層の雇用対策としてはそれらのスキルを身に付ける機会の提供が重要だと思います。ただ、これまで職業訓練を担ってきた企業が雇用を絞っている現在、職業教育の機会提供と負担を誰がどう行えばよいのか。

そこで一つの方法になるのかなあと思いついたのが、丁稚奉公です。わたし自身、丁稚みたいな期間に経験を積んで、なんとか食えるようになったので。

大学を出て数年間のプー生活のあと、わたしが就職したのは見事なブラック会社でした。なにしろフルタイムで働いて、最初の給料は七万円! ろくでもない会社なのはすぐわかりましたが、そこしか働き口がなかったから仕方がない。就職する前にさんざん書類選考ではねられましたから、まともな会社じゃ雇ってくれないのは骨身に沁みてわかっていました。

当時は毎日数件の業者をまわるのがノルマといわれていましたが、当然交通費や経費なんか出やしません。すべて自腹です。その頃はろくに昼飯を食う金がなくて、コンビニでおにぎり買って公園の水飲んでしのいでいました。

どんな経緯かは忘れましたが、給料の低さに対する不満をちょっと見せたら、会社のトップの老人から、烈火のごとく怒鳴りつけられました。

「お前にはこれでも払い過ぎや!!」

そういわれて「このクソジジイ…」と殺意をおぼえつつ、一方でどこか納得してしまったのを覚えています。確かに自分は仕事のイロハを教えてもらっている段階で、会社からしてみると俺への給料はいまはムダ金にしかなっていないんだよなあ、これは丁稚奉公みたいなもんだと割り切るしかないな、と。まあ、丁稚にしても扱い悪すぎましたが。

どんな職場でもそうですが、社員が仕事をおぼえるまでの給料は、会社にとってよくいえば将来への投資、悪くいえばムダ金です。働きに見合わない給料を払ってでも仕事をおぼえてもらい、いずれ給料以上のパフォーマンスをあげてくれることを期待して会社は新人を雇うわけです。しかし、最近はだいぶ様子がかわり、新卒採用がぐっと絞り込まれるようになりました。

上記の観点からすると、最近になって企業が新卒採用を絞っているのは、①将来に向けて新人に投資をしても採算が合わなくなった、②したがって新人に対する無駄金を払いたくない、といった理由が考えられます。ただ、企業はそれでいいかもしれませんが、若い人は所得を得られないだけでなく、実務経験とスキルが身に付けられず、いつまでたって給料以上のパフォーマンスをあげられないから仕事がない、という悪循環にはまってしまいます。

じゃあどうすればいいか。新人が仕事をおぼえるまでのムダ金(コスト負担)が問題というのなら、いっそその期間は「丁稚奉公」として働いてもらうのはどうかと思った次第。給料は最低限におさえて、職業教育と衣食住はきちんと保証し、一人前になったらよい待遇で社員契約するか他の会社に転職するような制度を現代にあった形でつくるのです。

こんなことを書くと「二一世紀の世の中にタダ働きさせるのか!」と怒られそうですが、一方で就職にろくすっぽ役に立たない大学教育に多額のお金が払われているという現実があります。要するに、現在は職業教育の機会提供とそのコストを誰が、どう担うのかがおかしなことになっているわけで、そこの是正から開ける道があるのではないかなあと思うのです。

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