「ワタミ渡邉美樹氏のデマ」が流布する背景とは?

 数日前、「ワタミ渡邉美樹氏が講演会で話した美談がドン引きレベルの内容だった件」(削除済み)というまとめサイトの記事に対し、渡邉氏本人がツイッター上で「全く事実ではありません」と指摘した一件があった。

 その後、このサイト主は記事を取り消し、改めて謝罪文とデマの検証記事をアップしている。雑誌のインタビュー記事を面白おかしく改変したデマに引っかかったようだ。記事は以下のリンクにある。

 「ワタミ渡邉美樹氏の記事について謝罪と訂正」 くまにゅーす

 一連のやり取りに関してSNS上を眺めていると、デマ拡散に対する批判がなされているのは当然だが、「デマの元ネタとなった記事もひどい」という具合で、デマを流された側であるワタミフードサービスと渡邉氏に対する風当りも強いようだ。

 少し前は著作が評判を呼び、熱烈なファンも多かったので擁護の意見が少ないのは意外な気がしないでもない。

 どのあたりが転機だったのだろうか。それはちゃんと調べてみないとわからないが、2008年6月に起こった同社の新入社員の過労自死事件が大きく影響しているのは間違いないだろうし、その後の対応も批判を浴びて仕方がないようなものが目につく。

 たとえば、社員の過労自死裁判においてワタミ社員が傍聴席を占拠しようとしたと報じられた件。

(参考)
「ワタミ過労死裁判 「社員が傍聴席を占拠」との指摘に渡邉美樹氏が反論

 上記記事の通り、渡邉氏は自身のFacebook上で次のように反論している。

また一部本日裁判所で、被告側が傍聴席を占拠したとの
指摘がありますが
原告、被告双方傍聴希望が多数あり、双方弁護士がその場で協議し、
最終的には原告側(2):被告側(1)と言う割合を受け入れ、
原告側支援者が過半数の傍聴席で裁判が行われたのが
「事実」です。

 しかし、批判を受けているのは原告の支援者の入場を妨害して占拠しようとしたかであって、2:1の割合で原告側と被告側が傍聴したというのは結果でしかない。つまり、この反論は批判に答えているようで実は「組織的に原告の支援者の入場を妨害しようとしたか」については答えていない。

 ワタミ過労自死裁判に関する資料に目を通していると、こうした言っていることとやっていることのズレがいろいろ目につく。裁判の原告であり娘を亡くした母である森祐子氏の意見陳述書には以下のように書かれている。

8 しかし、実際ワタミがとった行動は、労災申請するとそれまで自宅に何度もきていたのが、全く来なくなり、労災が認定されないように、労基署に同僚は辞めてしまって連絡が取れないとうそを言い、店舗の労働実態の証言をさせないようにするなど妨害し、労災が認定されると、渡邊美樹氏がツイッターにワタミには責任がなく労災認定されたことを遺憾に思うと書き込み、こちらから弁護士を通して申し入れた交渉には、実態を何も知らない弁護士しか現れませんでした。
 それで改めて、私たちは話し合いに応じてほしいと直接ワタミに申し入れました。するとワタミ側から損害賠償額確定のための民事調停を申し立ててきましたが、安全配慮義務違反はない、当方に責任はない、が金は払っても良いという内容でした。そんな考え方では、これから先もまた同じ事を繰り返すでしょう。

 ワタミ過労死裁判 母・森祐子さんの意見陳述

 
 今回のデマが流布した背景には、こうしたワタミ側の対応が知られてきたことも大きいと思われる。デマを「あの人、あの会社ならやりかねない」と一般の人が受け入れてしまう素地があったというわけだ。

 ネット上に流れるひどいデマを潰していくのは企業や個人として当然ではあるけれど、もともと会社に向けられている不信感を払底するには、まずは過労死自死事件の真相究明と遺族への誠実な対応が必要になるだろう。

 ただ、同社の第三者委員会のレポート等を見ると、残念ながらそれに取り組む気はあまりなさそうに感じられるが。(この項続く、かも)。

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