「すき家」の労働環境改善が困難である理由

 少し前にすき家に関する記事を掲載したが、ゼンショーが<「すき家」の職場環境改善に向けた施策について>と題するリリースを発表した(リンク先はPDF)。

 このリリースによると現在、167店舗で営業を一時休止して「パワーアップ工事」を実施しているのに加え、人手不足による従業員の採用難等の理由で2月から4月にかけて最大123店舗で一時休業や時間帯休業、124店舗で「経済合理性に鑑みて」深夜・早朝営業を休止しているとのことだ。

 一方で従業員の負担増の深刻化を重く受け止め「店舗の労働環境改善を経営の最重要課題に設定」したとしている。

 具体的な労働環境改善策としては「より風通しのよい店舗経営体制確立に向けた『すき家』の地域分社化」「労働環境改善に関して会社への提言を行う第三者委員会の設置」の2点としている。

 深夜に一人で従業員を働かせ、強盗の入りやすいお店として知られてしまったすき家でようやく労働環境改善が始まることは、ぎりぎりまで従業員を酷使することで利益を出すモデルの限界がきたことを示すものだろう。

 しかし、労働環境の改善は実際にはかなり厳しいと思われる。従業員を酷使することで利益を出すモデルであるが故に、単に労働環境を改善するだけでは利益を出せなくなってしまうからである。
 
 以前、吉野家と比べゼンショーでは売上高に占める従業員に支払う費用が4%低いと書いた。ということは、ゼンショーの売上高営業利益率は3.5%なので、仮に吉野家並に従業員への待遇を改善すれば赤字転落となる。

 また、ワンマン経営体制をそのままにして従来の方針を転換できるのかどうか。(この項続く、かも)

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